御薬園同心・水上草介シリーズを読んで

御薬園同心・水上草介(梶よう子)

3作シリーズになっています。

幕府が将軍のために薬草を栽培する小石川御薬園(おやくえん)の同心・水上草介(みなかみそうすけ)は、まだ22歳。名前の通りの草食系男子で、本草学には詳しいが、男装の剣の達人である千歳(ちとせ)には力も口もかなわない。彼の周囲で起こる小さな事件と本草の知識とが絡み合い、草介は少しずつ成長して行く。そして、長崎で蘭方(らんぽう)医修業する話が持ち上がる。草介、どうする?

全体の感じをこんな風で、のんびり屋で、人から1テンポも2テンポも飲み込みが遅くて、身体も、枝の方に細いので、「水草様」とみんなから呼ばれている。

そんな主人公に、この御薬園を管理している「芥川」家の子女「千歳」さんと、恋なのか?まだお互いに自分の気持ちを分かっていない、ちょっとしたもどかしさを感じながら、

この御薬園の周辺で起こるちょっとした事件を草介が、解決していくという物語です。

小説に出てくる人たちに、絶対的な悪人がいないことが、まずいい!(^O^)

今の朝ドラとちょっとリンクしていて、自然の草花を愛しその植物が持っている力を信じ

薬草の知識と歴史の勉強も程よく楽しめる。

読んだあとに、ほのぼのとさせてくれる小説です。

最後の「花しぐれ」で、草介が紀州に医学の勉強に行くことになり、千歳も一緒にという場面で終わっています。

あ~!!やっとふたりの気持ちが1つになったねって、嬉しくて。。(^O^)

だから、今度の紀州編を是非に作っていただきたいです!

とむらい屋 颯汰(梶よう子)

こちらも梶よう子さんの作品ですが、とむらい屋 颯汰は、

「葬具の貸し出しはもちろん、弔いも執り仕切る」

いわゆる葬式屋さん。

上の作品とは全く趣の違う作品です。

死者が残した未練や無念、生者が抱えた哀惜や苦悩。避けようのない想いを和らげるのが、とむらい屋の生業。

とむらい屋で働く人たちも、いろんな無念を抱えていて、亡くなった人だけでなく、今生きている人の思いもとむらっていく、颯汰の優しさが描かれています。

こちらは少し切なくなる作品ですが、重たすぎず、軽すぎず、心に残る作品です。